料理を通じて、イタリア文化と日本文化の架け橋になりたい。

イタリアマエストロ 石崎幸雄 料理を追及していくためには、人間の文化そのものへの興味がなければいけないと考えています。
国やその土地の気候を土台として、永い時間を経てさまざまな人の知恵や想いが積み重なり、昇華された人間の文化の素晴らしさ。それを最初に僕に教えてくれたのが、イタリア料理でした。
20代半ばで初めてイタリアに渡った時、そこが僕にとって外国だったこともあり、料理ばかりでなく、見るもの触れるもの全てにすごく感銘を受けたことを憶えています。でも、その時の僕は、生粋の日本人として日本の文化を語れなかったことがとても悔しかった。それはひとえに僕の教養の無さだったんだけど、今思えば日本人だったからこそ、イタリア料理を通じてイタリアの文化に純粋に惹かれたし、その深みに入れば入るほど、日本の文化の素晴らしさを確認することができた。
そして、異なった文化と文化、異なった国に暮らす人と人が繋がり、関わりあうことで生まれるものってあるんだなぁと気づけたことが、その後の僕の料理人としての生き方に大きな影響を与えてくれたように思います。

料理顧問 石崎幸雄

石崎シェフの「ちょっと小話」

国をあげて食材文化を守るということ・・・

イタリア産ワイン・フランス産ワイン イタリアやフランスのワインに格付けがあるのは比較的有名ですが、イタリアでは食材にも厳格な格付けがあることをご存知でしょうか? 生ハムにしてもバルサミコ酢にしても、法律で定められた基準によって、細かく名乗れる名称が決められています。
これは、国をあげて食材文化を守るという思想の表れと言えるでしょう。日本では残念ながら、このような思想は薄いように思われます。日本だって、素晴らしい食文化が各地に沢山あるけれど、果たしてどれだけその文化を守り後世に残そうとしているか、日本人のひとりとして、料理人のはしくれとして大いに省みた次第です。
だから僕は、日本人のイタリア料理人として、イタリア文化のそういう取り組みというか、姿勢の素晴らしさを料理を通じて日本の方に伝えていきたいと思うようになったんです。
もちろん、日本文化にも世界に誇れる素晴らしいものがたくさんありますし、僕自身勉強を怠らず、誇りを持って海外にアピールしていきたらいいなと考えています。

親友であり、良きライバルであること・・・

旬のイタリア料理を伝承しに日本へやってくるイタリア人シェフのジュリアーノとは、修行時代から親友でありながら良きライバルでもあり、前世では兄弟だったかなと思うくらいウマが合う間柄です。
いまでも二人で協力し合い、年に数回、那須と伊豆高原のラ・ヴィータ・エ・ベッラでコラボレーションメニューを発表するという活動を行っています。土台となるイタリア料理の技法は共通ですが、僕とジュリアーノでは、クリエイティブの感性が異なります。 同様の素材、同様のテーマで料理をしていても、「ああジュリアーノはこうクリエイティブするのか」って、いつも驚かされるし、特に盛り付けのセンスとかはずば抜けていて、とっても刺激になる。
ジュリアーノも同じことを思っていてくれると嬉しいですね。

コラボメニューは、毎回テーマを決めて制作するんだけど、そのテーマごとに、お互い新たな発見があり、二人ともコラボを楽しみにしているんです。